• Harumi

A to Z

道に迷った分だけ、人は自分の道を作れるのかもしれないと思うこと。


ロンドン生活が始まって直ぐにやったのは、現地の地図を買うこと。「A to Z」と呼ばれたそれは、ロンドン中の道路名が書かれたもの。グーグルマップの紙版といったらいいのかな。


今から30年くらい前のこと。携帯電話もなければインターネットもない世界では、地図を持って歩くのが普通だった。何より私たちのような外国人にとって、「地球の歩き方」を本棚にしまい込み、「A to Z」を持ち歩くというのは、ここの住人になったという証でもあり、少し特別な感じがした。「A to Z」なんともこのネーミングがいい。


東京の様に建物を目印に道案内ってのが難しいロンドン(外観が同じ)では、それなしには生活が出来ないほど貴重なものだった。それでも、何度も道に迷ったっけ。


初めの頃は、地図の読み方が分からなかったり、道名のスペルが分からなかったり、単純に携帯忘れだったり。道を尋ね回ったり、公衆電話から友人に案内をお願いしたり、仕方なくマップを買い足すことや散々歩き回って見つからず帰ることもあった。


不思議とね、マップがなくて迷い、迷った分だけ「道」を覚えていったなと思う。


家に戻って行った道、通った道に、A to Zに色付けした。頭の中で描きなおしていたんだよね。そうやってハイライトされた道が増える分、街を好きになっていったように思う。


いまでもロンドンに行くと、あの時の感覚で歩けるのだから面白い。



自分の道、人生も同じなのかなと思う。


好奇心を頼りにいっても、人生に迷うもの。人に助けを求め、時に方向が逆だったと戻ったりながらでいい。振り返るとね、そうして出会った人たちと共に自分の人生はあると感じます。考えたら最短で行けちゃうツアーみたいな人生は味気ない。うん、迷うから旅も人生も面白いのよね。


いま、自由に動けない状況下で、昔に撮った写真を見ながら書いています。何気なく撮った一枚が、この記事に意味を深めてくれるのは、最高の喜び。


迷いながら、試しながら、助けを求めながら、戻りながら♪

うん、自分の道をいこう!


やがて、自分の人生のA to ZがThe Sanctuaryになる〜。

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