
Harumi
嫉妬 しかも強く
図書館で何気なく目にとまった本、高級リゾートホテルのアマン創業者の話『アマン伝説』を借りてきた。
シンガポールに住んでいた頃、周りから一度は泊りたいホテルと聞いて所だが、その素晴らしさは知らない。たまたまこのタイトルに懐かしさを感じ借りてみた程度だったが、プロローグのところですでにグイグイと引き込まれてしまった。
これを書くに至ったという著者の偶然から始まり、著者の先代の偶然の偶然が、それまた偶然を呼ぶというおとぎ話のようなだが、そこに確実に実在した世界が素敵過ぎて、嫉妬を覚えた。
しかも強く。
というのも、「ズルッ!こんな世界観。もうどこ探したって、ないし。」という軽い絶望感も混じっているのかもしれない。(たとえあっても入れませんがw)

私にとって、キラキラと輝いた世界にみえるのは、何もない頃のアジアの島でのとても優雅な生活が舞台だからでなく、東西の国を超えながら、偶然を呼び起こす人たちの「直感」に羨ましさを覚えたから。
自分とは違う「人、場所、もの」たちとの出会いからインプットとアウトプットを繰り返し、確立していく感性。
偶然を呼び起こす直感。無鉄砲で大胆で、かつ、繊細なほど洗練された感性というのは、どうやったら養えるのだろう。ハァ〜(ため息)
これからますます「感性」が重要されるときがくると思っている。
何かを知っているということでリードできた社会も、どんどん情報が溢れフラット化する。安心という動線が引かれた生き方の中で、私たちはみな似た様なことを見聞きし、不安定であればあるほどに、人は人と同じでありたい。人から認められたいと同化していく。
これは不確実性を避け、利便性と引き換えに無限の可能性を秘めた「偶然」を手放しているとも言える。
いかに自分に偶然を呼び起こせるか。
たまたま目にした本であったが、こうした出会いもまた強烈なインスピレーションを起こした。緊急事態宣言下だからか本を借りにくる人は多い様に感じる。不自由さ中にも偶然を見つける「遊び心」を、大切にしたい。
ミラクルと呼ぶ様な偶然は、みな想定外からやってくる。想定外でしか起きないのだから。
大胆で、かつ、繊細なほどに。
さらに強く。